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   これからも…

 

 

 

 高校でとても仲が良かった友人が、卒業間際に手紙でカミングアウトをしてくれました。手紙には友人がトランスジェンダーであること、これからは名前を変えて男性として生きていくこと。その為、他の友達とは会えなくなるが、私だけにはこれからも会いたいから分かって欲しいとうことが書いてありました。

その手紙を読んで一番に感じたことは"納得"だったように思います。その友人は、女の子なはずだけど、髪の毛や服装を男の子みたいにかっこよくしていたり、制服のスカートをすごく長くしたり、ズボンを履いたりしていました。ぜんぜん女の子っぽくない。でも男の子でもないから、男女の認識を超えた独特のお面白いキャラクターで男女問わず皆から好かれる自慢の友人でした。


 そのキャラクター性が故に普段気にしていなかった"他の人とは違っている様々な点"が、カミングアウトをされて 「なるほど、そう言う事だったのか。」と1本の線に繋がった。といった感じでした。多少の驚きはありましたが 、ショックは感じませんでした。敢えて言うなら、今まで影で苦しんでいたのに気がついてあげれなかったこと、もしかしたら普段の何気ない会話の中でその子を傷つける言葉を話していたかもしれないことに対する申し訳なさを感じました。

   カミングアウトを受けたその時、「じゃぁ明日からその友達とどう付き合おう?」と考えたら、「うーん。何もかわらないなー。」という考えしか浮かびませんでした。 その子が女の子だから友達になった訳ではありません。すごく面白くて、それでいて周りの友人のことをいつも気遣う優しい人だから友達になれたと思っています。 だから、カミングアウトがきっかけで私達の友人関係は変わらないと思いました。

何より貰った手紙からはカミングアウトする事に対する恐怖や、それでも私に分かって欲しい。私に友人でいて欲しいという思いが伝わって来てきました。その思いがとても嬉しくて、友人の誠意にきちんと応えたい、これからを応援したいと思いました。

 あれから7年ほど経ちますが、その友人とは今でも仲良くしています。その友人は就職を決め、彼女も出来、他の友人にも徐々にカミングアウトをして会えるようになっています。
 またその友人をきっかけに、私はLGBTという人達の存在を身近に感じることが出来ました。(きちんと向き合えばほんとうに沢山いらっしゃいますよね。)
  LGBTの方々を始め、マイノリティの人々を含めた広い視野で物事を考える姿勢は、今の私自身の大きな力になっていると思います。そんな姿勢を持つ機会を私に与えてくれた友人に、今はとても感謝しています。

 

 

S さん

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